「Vtuber業界の活性化に向け、新しい人達や草の根層を応援していきたい」-ひかげつきみさんインタビュー
Vtuber界隈の人間であれば彼の名を一度は耳にされたことがあるかもしれない。イベントや執筆等を通じて応援・啓蒙活動を実施しながら、更には自らVtuberの体を手に入れ配信活動も行う熱い漢―ひかげつきみさんにインタビューを行った。

SPOTLIGHT運営 (以下SL): ひかげつきみさん、本日はインタビューにお越しいただきありがとうございます。 ひかげさんはnote等の媒体を通じて積極的にVtuber界隈の活性化に繋がる情報を発信されておりますが、そのような活動をはじめたきっかけについてお話いただけますでしょうか。
「記事を書くモチベーションは自分の考察が深まり、更に話題化・活性化に繋がること」
ひかげつきみさん (以下 つきみ): ゆがみんさんというライターの方の企画がきっかけです。Vtuberの響木アオを推す記事をみんなで一緒に書こう!という企画にお誘いを頂きまして、それがきっかけで推しの記事を書きはじめました。
SL: 記事を書くモチベーションはどのようなものなのでしょうか。
つきみ: 元々、文章を書くこと自体はそこまで得意ではなかったのですが、やってみて面白さに気づいた部分が多いですね。
1つはお互いに記事を書いて見せ合うことで、実はみんな少しずつ見ているところが違うことに気づけたこと。
後は、日頃なんとなく「好き」とか「エモい」みたいな言葉でくくっている気持ちを、文章で他人に伝えなければならないので、その過程で、「推しのどんなところが好きなのか」についてより分析的に考え、改めて考察し直す機会になる。それはとても面白いところですね。
更に、記事にすることで、いろんな方の目に留まり、それが話題化・活性化につながっていくこと。私にとっても、界隈にとってもWin-Winの活動だと思っています。
SL: Twitter等でひかげさんの活動が目に入ってくることがよくあるのですが、大変活発に活動されていますよね。
つきみ: そうですね。ライターとしての活動以外ですと、自分自身がVtuberになったり、最近はイベント周りにも手を出しています。
SL: Vtuberになられた目的は。
つきみ:他の配信者さんたちが「どのような課題を抱えているか」「どのような時に楽しいと感じられるか」「どのようなサポートがあれば活動しやすいか」について理解したい、という気持ちが動機です。やっぱり身を持って体験しないとわからないことも多いので。 ただ、他の配信者さんと違うのは、あくまで私は「ひかげつきみ」という個人が先にあって、それがたまたまVtuberの皮を手に入れた、という点ですね。それは私のスタンスとしてやらせていただきたいなあ、と思っています。
SL: ライターやひとりのオタクとしてのひかげつきみさんがまず、最初にあると。
つきみ:この「ひかげつきみ」名義もかれこれ10年くらい使っていますからね。それこそリアル中二病の時にポエムを投稿していたのですが、その時からずっとこの名義です笑 もちろん愛着もありますし、そのリアル中二病時代に繋がった人から今見つけてもらえたら面白そうだな、とも思っています。
「人生の数年くらいなら、つぎ込んでもいいなあ…」と思いながら活動しています。

SL:ちなみに、これまではどんな感じでオタ活を楽しんでこられたのですか?
つきみ: 中学時代に「灼眼のシャナ」とか「涼宮ハルヒの憂鬱」にハマったのがオタクを自覚したきっかけですね。友人の間でそれがものすごく盛り上がって、その時からアニメやライトノベル文化にどっぷりハマりました。ニコニコ動画が立ち上がったり、VOCALOIDが流行りはじめたり、まさに現在に繋がるオタク文化が芽吹き始めた頃です。昔は「特定の領域に滅茶苦茶詳しい」人がオタクと呼ばれていたのだと思いますが、私はオタクという存在が、よりライトなものへ変化してきた最初の世代となります。
SL: その後はもう一気にオタ活へのめり込んだと。
つきみ: そうですね笑 思春期の真っ只中でそのような洗礼を受けまして、その後はVOCALOIDから東方、1年サイクルくらいで様々な新しいものを見つけてはハマっているような状況です。周りの人にも紹介したり、紹介してもらったりしながらコミュニティを広げています。そんな中、Vtuberという世界観と出会いまして、「おっ、面白そうだな」なんて思っていたら沼にハマり、今に至るという感じです。
正直、「人生の数年くらいはつぎ込んでもいいなあ…」という気持ちで活動しています。
SL: 元々積極的にコミュニティをつくったり参加したりされていたのですか?
つきみ: 元々視聴中心で、表立った活動はしていなかったです。ある時百合にハマって、イベントに参加したことが転機になりましたね。「同じ趣味の人同士で話すことって、本当に面白い」ということに気づいて。Vtuber界隈では色んな配信者がイベントをやっていますけれども、イベント帰りにファン同士で飲みに行く、みたいなことがやっぱり楽しくて…。
「業界全体の活性化に向けて、新しい人達や草の根層を応援していきたいです」
SL: 私も昔VOCALOIDにハマっていた時期もあるので、その楽しさはすごくよくわかります…!ちなみに、Vtuber界隈を追っていく中で着目しているトレンドや動きってありますか?
つきみ: イベントの性質がこの1年間で段々変わってきたなと感じています。Vtuberのイベントって、元々三軒茶屋のTSUTAYAとか、小さいライブハウスを借りてイベントをしたり、そのレベルの活動が中心だったんです。その後、キズナアイ ちゃんとかそれこそ大手と呼ばれる人たちが出てきて、大きな箱を借りてイベントをすることが増えてきました。最近は映画館みたいな中間くらいの規模のイベントが増えてきたのかな。そして、この先はまた小さいイベントが増えてくるのでは?と予測しています。
オタク仲間同士でも話題になっているのですが、大きいイベントはやっぱり参加費が高くて、毎回参加するのが厳しくなってくるんですね。イベント間のスケジュール被りも当たり前になってきていますし。そうすると、大きい会場を埋めることが難しくなり、ちょっとずつ小規模なイベント、参加費が安いイベントに回帰するのかなあと考えています。
後はVtuber文化自体が普及してきたこともあって、VFOP (Vtuberファンオフパーティー)のような、ファンが主催する形のイベントも増えていくかもしれません。そのために、色々なノウハウを発信していけたらなあ、と思っています。
SL: 最近、Vtuber業界も商業化が進んで、ベンチャー各社も目をつけてきているような状況だと思うのですが、配信者とファンが近い距離感でわちゃわちゃやることが元々の楽しさだったのかなと思っています。
つきみ: そうなんですよ! 結局愛が重要だなと思っていて、この人を出せば集客できるとか儲かるとか、それだけの発想の取り組みだけが増えていってしまうと文化が廃れてしまうなあと思っています。
SL: 後は配信者さんの数が増えたり、競争が激しくなってきたことで、面白い人が埋もれたりすることは多くなるかもしれませんね。Twitterではフォロワーを獲得できている配信者が、Youtubeの配信にはなかなか来てもらえなかったり。
つきみ: そこなんですよね。Twitterという話題化に繋がる場所と、コンテンツが紐付かない。Youtubeにしても、実はあまりサジェスト機能は優秀ではなくて、何百人もVtuberをチャンネル登録しない限り、十分にはリスト化されない。かなり掘っていく人でないと、面白くてマイナーな配信者とは出会えないのが課題だと思っています。
SL: 昔、ニコニコ動画がそのような文化の中心にいた時代には、ランキングシステムが秀逸だったこともあって色々な才能を持つ人が出てきていたなあ、と記憶していますが、Youtubeになってから完全に環境が変わった印象があります。
つきみ: そういう意味では、REALITY さんやトピアさんのようなアプリがそのあたりをカバーしようとしている気がします。人気のある人に限らず、新人で伸びている人もトップページに表示されるようなインターフェースですし、きちんと循環するメカニズムになっていますね。 大手が盛り上がるためにも、まずは新しい人達や草の根層が盛り上がることが第一だと思います。そういう意味ではまだまだ界隈全体としてスケールが小さいのかな、とも思っていて、きちんと他のジャンルとのコラボレーションも視野に業界を盛り上げていけたら、と思っています。
「熱心なファンの人にも認めてもらえる、そのくらいの思いを持って記事を書き続けたい」

SL: ありがとうございます。最後に、執筆にあたって、特に拘っているところをお話いただければ。
つきみ: まず色んな人に見てもらうことが大事だと思っていて、そのために既に人気のある人と、これから伸びてほしい人を極力セットで紹介することを心がけています。
SL: SEOの観点からもそのほうが良いですよね。
つきみ: 一方で、紹介記事はどうしても浅く広くになりがちなので、例え5行くらいの短い文章を書くときであっても、その人のプロフィールや動画をきちんとチェックしたり、生放送に参加できれば参加したりして、ファンとの関わり方も見届けた上で書くことをポリシーにしています。
SL: 大変勉強になります。理想の姿勢かもしれませんね。
つきみ:時間もかかりますし、色々な動画に脱線して記事が進まないなんてこともザラにあるので、大変ですけどね笑 ただ、色々な動画を見ながら書いた記事ほど、読者の方から評価されることが多くて嬉しく思っています。
やっぱり、誰とも喧嘩したくないじゃないですか。固定ファンの方だったりすると、「この記事、この配信者のこと全然わかってない」って思われたりしそうですし、そういう恐怖は常々感じています。そういう熱心なファンの人にも認めてもらえる、そのくらいの思いを持って記事を書き続けたいと思います。
SL: 本当に熱い…。
つきみ: 正直、まだ気持ちで書いている部分もあります。プロのライターを目指していますが、そこはブレないようにしたいと思います。
SL: 今後の活動は、やっぱりそのようなライター職としての活動に舵を切っていくと。
つきみ: そうですね。来年からはライター業をやりつつ、そちらを軸にしながらイベンターをやったり、イベンターをやりたい人のお手伝いをやりながら、草の根イベントを盛り上げていけたらなあと思っています。そのためには実績とか知名度も必要になってくる。そういうことができるだけの人間になることが、目下の目標です!
SL: 本当によいお話をありがとうございました。心から応援しております! 是非何らかの場で、一緒にお仕事ができたらいいですね!
SPOTLIGHT INTERVIEW、本日はひかげつきみさんへのインタビューでお送りいたしました。ありがとうございました!
本日お話を伺った方: ひかげつきみさん

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