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「独自の世界観を貫き、次のステージへ」-Project XEVEX 松原ディレクターインタビュー

ヒトの遺伝・意識情報を脳から抽出しデータ化する「ギノアシステム」が普及した近未来―本世界を舞台としたサスペンスストーリー「STRINGS WAVE」は、M3 2016春での発表後、比類なき音楽・作画クオリティと、緻密に作り込まれた設定によって、同人シーンを中心に話題作となった。本日は、本作のディレクター・原作・音楽を務めたProject XEVEX 松原直樹氏にお話を伺った。




SPOTLIGHT運営 (以下SL): 松原さん、本日はインタビューにご協力いただきありがとうございます。まずは読者の皆様に向かって、今までの活動についてのご紹介や、制作環境についてご紹介を頂けますでしょうか。


「楽曲全体のオーケストレーションに拘るタイプなので、今でもハードシンセ中心の制作環境です」


Project XEVEX 松原ディレクター (以下 松原): はい。Project XEVEXは遡ると、私の中学時代、いわゆるリアル中二病時代に始めたプロジェクトです。当時から絵を書いたり音楽を作るのが好きで、プログラミングにハマっていた友達と一緒に部活動の一環でXEVEXというブランドを作ったのがきっかけです。

当時まだインターネットの主流はISDNでしたが、個人ページを立ち上げて、絵や楽曲や、簡単なスクリプトでアドベンチャーゲームを公開していました。


SL: ちょうどフラッシュやRPGツクール全盛期で、インターネットがまだ今よりも自由で多様性にあふれていた時代ですね。作曲って、結構ハードルが高い印象があるんですが、元々音楽には子供の頃から触れていらっしゃったのですか?

松原: 両親ともに音楽をやっていたので、その影響でヴァイオリンをやったり、学校の自由研究で作曲をやったり、小さい頃から音楽に触れてきた感じです。後は時代的にゲーム音楽の全盛期でもあったので、触発されて自分たちで作ってみる人たちもいっぱいいて。きっかけはスーパーファミコンのマリオペイントです笑


SL: うわあ懐かしい!


松原: それで作曲に触れはじめて、後は中学の部活で触ったPC9801にインストールされていたFM音源の作曲ツールでゴリゴリ曲を書くようになりました。中学の夏休みの間とかもずっと部室にこもって作っていて。最後は親にねだってWindows 95のPCを買ってもらって、MIDIの全盛期だったのでSC-8850とかJV-2080とかXV-5080みたいなハードシンセを動かすような形で作っていましたね。Keyさんとかの美少女ゲームのハイクオリティな楽曲に相当触発されましたし、I’ve Soundさんが機材リストを公開していたりしたので、色々参考にしたりと笑


SL: そうやってどんどんラックに機材が増えていくという…笑 今はどんな機材で作ってらっしゃるんですか?


松原: KORGのKRONOSを使っています。大人になって、機材に金を突っ込めるようになって本当に楽しいです。今はソフトウェアシンセサイザーが主流ですけど、やっぱりハードシンセサイザーはプリセットの作り込みとか使いやすさが全然違いますし、操作も直感的なので、ハードシンセ中心に機材を揃えていきたいなあと。もちろんKompleteなどソフトシンセも併用して使っていますが。


SL: アナログシンセサイザーなんかには手を出されないのですか?


松原: あんまりそっちには手を出さないですね。音作りを好まれるや、音色そのものにこだわるクリエイターさんもいますが、私はどちらかというと全体の調和というかオーケストレーションにこだわるタイプなので。作業自体はMacとCubaseベースで行っていまして、最近オーディオインターフェースでUniversal AudioのApollo X6を導入しました。プラグインはUAのものや、WavesでMS処理するとか色々使っています。




「自分で作った曲って、やっぱり一番自分が好きな曲で、それが心の支えになった」


松原: その後、高校時代まではそんな感じで創作を続けていたんですけれども、受験もあって結局ゲームを完成させることができませんでした。大学進学後はオタクに寄り過ぎた自分を少し更生しようかな、と思ったりして、大学デビューとともにしばらくは創作から身を引いていました。ヴァイオリンを子供のころやっていたので、オーケストラに復帰して陽キャのフリをする、みたいな笑。


そんな感じで大学を卒業して、会社に就職して、割と順風満帆な生活を送って20代を過ごしたんですが、5年前に母を亡くし、かなり身近に死を感じるようになりました。「人間、いつか死ぬことがわかっているのに、このまま普通のサラリーマンとして生きていっていいのだろうか、自分が本当にやりたいことってなんだろう」って。

SL: そんな時に、音楽が松原さんのそばにあった?


松原: そうです。久しぶりにシンセサイザーを引っ張り出して、何気なくいじってみたらとっても楽しかったんです。それと、自分が作った曲を聞き返したりもして。やっぱり自分で作った曲って、一番自分が好きな曲で、いつまでも聞いていられるんですね。自分の音楽に立ち返った時に、それが自分の自信につながって、心が救われて、いわば精神安定剤のような役割を果たしてくれたんです。その時に、自分が本当にやりたいことって、やっぱり音楽をはじめとした創作活動なんだな、と思い、創作活動を復活させました。


SL: それが今の活動につながっていると。


松原: そうです。どんどん作ったものが溜まっていって、サントラだけできていくみたいな笑 ちょうどそのタイミングで、会社の同期に興味を持ってくれた奴がいまして、「ストーリーをつけて発信してみようよ」、って声をかけてくれたんです。それがProject XEVEXとしてサークル活動を始めて、「STRINGS WAVE」を発表した経緯になります。

SL: 少年時代からの夢を、30代になってリスタートさせたわけですね。


松原: 高校時代にゲームを完成させることができなかったのがとても心残りだったので、大人になった今、きちんと決着をつけたい、という思いがありました。同じ時期に同人シーンで活動していた、TYPE-MOONさんや新海誠さんがその後どんどん売れていくのを見てきたこともありましたね…「自分ももっと続けていたら、今頃人生は変わっていたのかな?」とか。 もちろん、そんなことを言っても始まらないのでコツコツ活動を続けて、一通り「STRINGS WAVE」のコンテンツも作り尽くして、昨年には自主制作アニメ (トレイラー)の完成までこぎつけることができました。そういう意味では、やりたかったことを一通り実現させて、ある意味で踊り場にいるような状況です。



「STRINGS WAVEが区切りとなった今、次の活動に向けて新たな出会いがあれば」


SL:サークル活動を本格化させたのは2016年のM3からでしたっけ?


松原: そうですね。関西出身だったこともあってサークルとして出展した事自体が実ははじめての体験でした。同人イベントを通じてXEVEXを知ってくださった方が、結構ファンになってくださいまして。本当に出てよかったなと。


SL: 僕も学生時代にM3でCDを手売りしていたんですが、本当に来てくださる人たちの熱量がすごくて、クリエイターとしては最高にエキサイティングなイベントですよね


松原: 活動を広げるにも本当にいいイベントですしね。

SL: 最後に、「STRINGS WAVE」が区切りとなった今、今後の活動の方向性についてお話を頂ければ。


松原:「STRINGS WAVE」自体まだ全然本編もできていないので、区切るにはいささか申し訳ないのですが…苦笑 さすがにまたアニメをいきなり作るのは体制的にも厳しいので、今はとにかくプロットを書き溜めているような状況です。同人活動としてやりたいことは一巡したので、次はなんらかの形で出版したり、プロの世界で戦ったみたいなあと思っています。そのために、演劇関係の方々に脚本を読んでもらったり、アドバイスを頂いたりしています。

最終的には自分で脚本を作って、楽曲作って…、オールラウンドで作品に関わっていく人になれたらなあと思っています。80~90年代のレトロな質感のものが好きなので、現代の技術との組み合わせでよりクオリティの高いものを作りたい、と。


SL: 今はクラウドファンディングでお金も集まりますし、自主制作の世界もどんどん盛り上がっていくと思っています。また、この記事を読んでくださっている方の中から、良い出会いが生まれたら素晴らしいですね。今後の活動、何よりも楽しみにしています。

SPOTLIGHT INTERVIEW、本日はProject XEVEXディレクター松原直樹さんへのインタビューでお送りいたしました。松原さんありがとうございました!

本日お話を伺った方: Project XEVEX (ゼーベックス) ディレクター 松原 直樹 (まつばらなおき) さん


Project XEVEX オフィシャルサイト: http://www.projectxevex.sakura.ne.jp/index.html

公式Twitterアカウント: https://twitter.com/projectxevex

Youtube: https://www.youtube.com/channel/UCTzRtG0CGfaRK0N2NsR8LPg


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